【10冊】蒼井優さんがおすすめした本
『アズミ・ハルコは行方不明』
地方のキャバクラで働く愛菜は、同級生のユキオと再会。ユキオは意気投合した学と共にストリートアートに夢中だ。三人は、一ヶ月前から行方不明になっている安曇春子を、グラフィティを使って遊び半分で捜し始める。
原作を読んだとき、少し前、20代後半の自分と重なるなと思ったんです。私はそこまでヘビーではなかったけれど、なんか悶々と曇ってるなぁという気持ちが常にあったあの頃の時間と、たぶん春子が自分から動くこともせずに何かを待っている感じが、わかるなぁって。
『ロマンスドール』
一人のラブドール職人と、彼が一目で恋に落ち結婚した妻との日々を描いたタナダユキの初オリジナル小説。型破りな設定と衝撃的な展開の中で、男女が強く惹かれ合い、そして時間とともに変わっていく感情と関係を繊細に描いた物語。
人が同じ角度ですれ違っていくというか、文章を追いながら、頭の中で線がスーッと通っていく感じ…。まるで図式を見ているような感覚になったんです。
『ペンギン・ハイウェイ』
ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどいろいろなことを知っている。毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。
想像していた話とは違う方へどんどん進んでいって、読み終わった後には、今はガムシャラに生きてますけど、すごく遠い記憶でキラキラしていた時間があったことを思い出させてくれました
『雷桜』
江戸から3日を要する山間の村で、生まれて間もない庄屋の一人娘・遊が、雷雨の晩、何者かに掠われた。手がかりのつかめぬまま、一家は失意の11年を過ごす。遊の生存を信じる次兄・助次郎は、江戸で御三卿・清水家に中間として仕えるが、当主・斉道は心の病を抱えていた。
自分が好きな小説の主人公に自分がなれたということ、こんなに幸せなことってないですよね
『ヘヴン』
十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。
とにかく最後はどこに着地するか。想像通りでも何でもなかったのに、すごく気持ちいいところに着地した感じがしたんです
『彼女がその名を知らない鳥たち』
昔の男を忘れられない十和子と人生をあきらめた中年男・陣治。淋しさから二人は一緒に暮らし始めるが、ある出来事をきっかけに、十和子は陣治が昔の男を殺したのではないかと疑い始める。
ここまで未完成な大人たちが出てくると、こんなにも物語が面白くなるんだなと驚きました。
『旅をする木』
広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年、26歳でアラスカに初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々が続いた。
昔から好きで何度も読んでいて、それこそ私のバイブルなんです
『星の子』
林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。
池松壮亮におすすめした本として紹介。
出所:GINZA
『あひる』
あひるを飼い始めてから子供がうちによく遊びにくるようになった。あひるの名前はのりたまといって、前に飼っていた人が付けたので、名前の由来をわたしは知らない―。
物語の動かし方がものすごい絶妙なんですよね。読者を驚かせながら、「いや、それはないでしょう」と思わせない、「人間ってそういうことしちゃうかも」というところのキワキワを攻めてくる。